更新日時:2009年01月20日



- 本人に代わって、親族が「親族自身の名前」でサインした介護サービス契約や施設入所契約は有効でしょうか?
- 何らかの事情で本人がサインできない状態にあり、介護サービス契約等を親族が「親族名」で代わりにサインしたとき、その契約が有効かどうかは、次のように考えられています。
親族が、親族名で契約を締結することは当然有効です。しかし、その効力は原則として本人に及ぶことはありません。このような契約を「第三者のためにする契約(民537)」といいます。
民法第537条
1 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
たとえば、親族が「親族の名前」で介護サービス契約書等にサインした場合、契約当事者=親族と、施設(債務者)、第三者=本人ということになります。この場合、上記条文にそのままあてはめると、第1項は「本人は、施設(債務者)に対し直接そのサービスの給付を請求できる」となり、第2項は「本人の権利は、本人が施設に対してその契約の利益を受けるという意思を表示したときに発生する」(これを「受益の意思表示」といいます)となります。
ここで注意してもらいたいのは、本人が「受益の意思表示」をすることによって、本人に対しても契約の効力が及ぶことになるという点です。この「受益の意思表示」ができない状態である場合、前述のように原則として契約の効力は本人に及ばないため、契約内容に「利用代金は本人が払う」と定められていたとしても、本人はその代金の支払義務を負いません。
そこで「受益の意思表示」をするためには、本人に代わって意思表示をする人を選任する、成年後見制度を利用することが望ましいと考えられます。
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