更新日時:2009年02月03日



- 本人死亡後の、医療費や施設利用料(以下、医療費等という。)の支払いは、どうすればいいでしょうか?
- 本人の死亡により後見は終了し、民法の相続法理に委ねられることから、原則として本人の負債についても相続人が承継することになります(例外:民法915条)。したがって、医療費等の債務について成年後見人等に支払義務はありません。しかし、本人と相続人との関係が疎遠であったり、相続人が遠方に居住しているなど、現実に対応できないこともありえます。
このような場合、成年後見人等が医療費等を支払うことは差し支えないか、応急処分義務の範囲に含まれるか、という問題が生じます。
実際には、そもそも本人が病院や介護施設に入院・入所する際、①成年後見人等は医療費等の支払責任者(本人財産より支払いますという意味)になるよう求められることが多く支払いに関する代理権を有していること、②成年後見人等が速やかに医療費等を支払っておくことは相続人にとっても有利に働くことから、応急処分義務の範囲であると考えることができると思われます。
なお、上記のように応急処分義務の範囲に含まれると考えたとしても、その前提として、①相続人が対応できない場合であること、②本人死亡後、本人名義の預貯金口座から出金することはできないことから、成年後見人等が現金で管理している、という場合に限られるべきです。
したがって、実務においては、設問のような問題が予め想定されるケースでは、本人財産の管理方法について、成年後見人等側で工夫するようにしています。
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- 2009年07月16日永代供養
- 2009年07月13日「死亡届」の届出
- 2009年06月18日遺言書を残すべき人
- 2009年06月16日「相続させる」と「遺贈する」