成年後見人の同意なく行った法律行為の取り消し

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更新日時:2009年02月04日はてなに追加MyYahoo!に追加del.icio.usに追加

成年後見人の同意なく行った法律行為の取り消し

カテゴリー:後見利用中Q&A

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質問
成年被後見人が、成年後見人の同意なく行った法律行為を取り消したときの法律関係はどうなるのでしょうか?
回答
 成年後見人の同意なく「成年被後見人が、本人名義の土地を、隣人のAさんに金1000万円で売買契約(以下、本件契約という。)を締結した」という事例について、検討します。

 土地の売買契約は、日用品の購入その他日常生活に関する行為ではないと評価できるため、成年後見人は取消しすることができます。なお、保佐も同様に取り消しできると考えられます(民法13条1項3号)が、補助の場合は本件に関する同意権が付与されている場合に限り、取消しできます(民法17条1項)。また、本人が認知症であることに乗じてAさんが売買契約書に署名させたような場合は、取り消すまでもなく、契約自体不成立(無効)と評価することもできます。

 成年後見人がAさんに対し取消しの意思表示をすると、本件契約は初めから(契約当時にさかのぼって)無効であったものとみなされます(民法121条)。したがって、取消し後の法律関係は不当利得(民法703条以下)の問題となり、既にAさんが本件土地を占有していたときは、その返還を求めることになります。
 逆に、本人がAさんから代金等を受け取っていたときは、Aさんに返還することになりますが、本人が成年被後見人の場合は、「現に利益を受けている限度」で返還義務を負うことになります(民法121条但書)。
 この「現に利益を受けている限度」については、次のとおりです。本件の事例で、本人が、Aさんより300万円を受け取り、そのうちの100万円を生活費等で使ってしまったところで成年後見人が取消しの意思表示をした場合、現に本人の手元に残っている200万円をAさんに返還することになります。
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