更新日時:2009年03月23日



- 成年被後見人が第三者に怪我をさせたときの責任は?
- 他人(第三者)に損害を与えた場合、損害を与えた本人が賠償責任を負うのが原則です(民法709条、過失責任の原則)。ただし、損害を与えた人が、損害を与えたとき、精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にあった場合、その本人は損害賠償責任を負いません(民法713条本文、この場合の「本人」を法律用語で「責任無能力者」といいます)。
したがって、成年被後見人に責任能力(自らの行為が法的に非難を受け何らかの責任を負うことを理解する知能)がない場合、成年被後見人(本人)は損害賠償責任を負いません。
しかし、これでは被害に遭った人(被害者)にとっては酷な結果となるため「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」とされています(民法714条)。つまり、成年被後見人を監督する法定の義務を負う者とは成年後見人です。
したがって、成年被後見人が第三者に損害を負わせ、成年被後見人が責任無能力者の場合、成年後見人が賠償責任を負うことになります。
ただし、成年後見人が、①監督義務を怠らなかったことを証明できたとき(無過失の証明ができたとき)、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったとき(因果関係の不存在の証明ができたとき)は、責任を負いません。
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