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更新日時:2012年06月27日はてなに追加MyYahoo!に追加del.icio.usに追加

離婚して縁が切れても子どもの相続権は残る【日本経済新聞】

カテゴリー:遺言・相続ニュース

離婚に伴う相手方への慰謝料や養育費などのお金のやりとりは、あくまでも期限が決められた一時的なものです。しかし、相続の権利は、時として離婚によっても消えることはなく、生涯にわたって続く点に注意が必要です。

著名人の離婚をめぐる報道が、あいかわらず世間をにぎわせています。2011(平成23)年度の1年間で約23万5000組の夫婦が離婚をしたという厚生労働省の推計からもうかがえるように、離婚は決してレアケースではありません。

ところで、離婚にあたっては、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分けるための「財産分与(ざいさんぶんよ)」、相手方に与えた精神的な苦痛などの損害を賠償するための「慰謝料(いしゃりょう)」、子供が一定の年齢に達するまでにかかる衣食住の費用などを負担する「養育費(よういくひ)」などのお金を、当事者のあいだの取り決めによって受け渡しをすることが多い、ということは一般的にもよく知られているところでしょう。

そして、こうした離婚に伴うお金や財産のやりとりは、離婚が成立した後のしばらくの期間だけか、あるいは子供が成人や大学卒業などの年齢に達したときをもって終わる前提であることがほとんどです。当事者にしてみても、離婚に至った様々な経緯があるわけですから、一定の期間が終わればもう他人同士、その後はお互いに消息も知らない、知りたくもない……ということも少なくありません。

夫「君と連れ添って、もう20年か。あらためて月日の流れは速いものだなぁ」
妻「お互い再婚同士で最初は苦労したけれど、それがかえって絆を強めてくれたわ」
夫「この家もずいぶん傷んできたから、思い切って建て替えて、ふたりの終(つい)の棲家(すみか)にしようと思っているんだ。君の好みを大々的に取り入れてデザインしてもらうつもりだからな」
妻「うん、ありがとう……」
夫「どうしたんだ? せっかくの良い話なのに、浮かない顔だな」
妻「いえね、本当にこのまま波風なく二人で過ごせるのかしら、とつい思ってしまって」
夫「僕の前の妻や子供たちのことをまだ気にしているのか? もう籍を抜いて他人になってから20年以上になるし、向こうも再婚して、別の父親がいるんだ。あいつらもとっくに立派な成人だし、どこで何をしているかは知らないが、そろそろ大人の事情もわかる年齢になっているだろう。あいつらはあいつら、僕たちは僕たちで、それぞれの人生を歩んだらいいんだよ」
妻「そういうものかしらね……」

記の例のような、妻の漠然とした不安は、決して的外れではありません。残念ながら、離婚や再婚をすることによって、後に相続トラブルを引き起こす引き金となってしまうことがあるのです。たしかに、離婚をすることによって、相手方の前妻は籍を抜いた他人となってしまいます。慰謝料や養育費などを払い終えてしまえば、何の関係もない赤の他人となり、自分が死んだとしても、別れた前妻には何の権利もありません。

これに対し、前妻との間に生まれた子供の場合は大きく事情が異なります。自分の戸籍から子供たちの名前が抜けたとしても、子供にとって、自分が生みの親である事実は変わりません。自分が死んだ場合、たとえ離婚をして籍から抜けても、子供たちは依然として自分の相続人であり続けるのです。つまり、離婚によって前妻の相続権は消えますが、前妻との間の子供たちの相続権は消えない、ということです。これは、相手方の前妻が親権を取ろうと取るまいと同じです。

また、前妻が再婚をして、子供たちが新たに前妻のパートナーを養父に迎えたとしても、子供たちの実父の相続権には影響がありません。子供たちは生みの親である前の父親からの相続権を持ち続けたまま、養父の財産についても、養子として新たに相続権を得ることになるのです。養子に入れば、養親からの相続を承継するだけであって、実親の相続とは関係がなくなるという誤解があるようですが、子どもたちは実親からの相続権を失うわけではありません。ですから、前妻との間に実子がいた場合、その子は離婚によっても相手の再婚によっても相続権を失わず、いつまでも自分の相続人であり続けることになります。

このため、再婚をした方に相続が起こると、後妻や後妻の子供たちにとっては、思わぬトラブルの形となって現実が突きつけられることがあります。つまり、予期していなかった前妻の子が相続人となって現れ、目前に立ちふさがるケースがあるのです。前妻の子が、後妻や後妻の子供たちと良い関係であるとは限りません。むしろ、長い年月にわたって音信不通で、過去の離婚の経緯などから、亡くなった親に対しては良い感情を持っておらず、話し合いが難航することも珍しくないでしょう。

さらに、この前妻や前夫との間の子供たちの相続権は、一代だけのものではない点にも注意が必要です。もしも自分が生きている間にその子供たちが死亡すれば、その子供たち自身が相続権を持つことはありません。しかし、仮にその子供たちがすでに子供(つまり、自分にとっては孫)をもうけていれば、相続する権利は孫に代襲されます。前妻との子供の代わりに、その子である孫が相続人としての権利を持つことになるのです。自分が長生きをした年月に前妻の子とその孫が亡くなっていても、さらにその子、その子の子……と、直系が続くかぎりこの権利は代襲されます。

このように、離婚に伴う相手方への慰謝料や養育費の支払いは一時的なものにすぎませんが、子供がいた場合の子供の相続権については、離婚でも消えない、自分の一生涯にわたって続く可能性のあるものとなります。この現実をしっかりと直視し、離婚したパートナーとの間に子供がいる場合は、遺言書の準備や遺留分対策としての生命保険の活用など、相続トラブルを回避する行動が欠かせないでしょう。

参照ニュースURL

http://www.nikkei.com/money/features/17.aspx?g=DGXNMSFK2500O_25062012000000&n_cid=DSTPCS008&df=1

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